神保町花月【影ができるほどのタメ息】

感想をダラダラと。(※ネタバレしてます)

脚本:渡辺 鐘
演出:国津絵夢
出演:佐久間一行指圧野郎ミルククラウン、出雲阿国、しずる、エド・はるみ
あらすじ:いきなり突きつけられた出口のない選択に         戸惑い続ける家族の物語。
どこか空気が抜けている面々には
難しすぎる出来事だった。
果たして、そこに正しい答えは存在するのか?
影ができそうなほど重く硬いタメ息がもれる。
しかし、やがて一つの道が生まれるが・・・。


フライヤーと一緒に出演者の自己紹介と「タメ息をついたエピソード」が書いてある冊子が。こういう小細工にファンってのは弱いってよく知ってるなぁ!あと、もうすぐ開演です〜っていうアナウンスが鐘さんの声。やりよる。ていうか出たがりだなぁ〜笑。


鐘さんの脚本ってことで期待!と、思ってた割には見終わっての気持ちがイマイチすっきりせず。なんだかモヤモヤ、な脚本だったなぁ。場面展開が無い代わりにスクリーンが多用されて、だったら最初にキャスト紹介もVでやって欲しかった!っていう個人的な要望。ま、最後に男の子が紙でやってたのはアナログで良かったんだけどね。


ある家庭に金を出せと押し入る冷静沈着な強盗。「時間を与える。警察に言ったら、どうなるか分るな?」そう言った男はその場から立ち去る。金を出すべきか、家族と巻き込まれてしまった寿司屋の出前の男とで考える。も、能天気な一家は彼氏が来ることにてんやわんやだったり、買い物に行って事故を起こしてしまったり。しかし、実は犯人にもこんなことをする事情、があって・・・


さっくんの歌のシーンはどう考えても本人がやりたいだけって感じ。まぁああいうのも含めてのお芝居、かなぁ。らしいっちゃらしいけど、周りで踊ってた子とかいらなくね?っていう正直な気持ち。


演技はみんな自然!というか自由。さすがピン芸人の集まり。無限大のブリッジにジェントルが告知で出てたときに「ピン芸人ばっかりだから自由!」って言ってたけど、演技にもそれがすごく出てた。無茶振りとかアドリブとか多くて、あれはあれでピン芸人の強みだなぁと思ったり。良くも悪くも、みんなが自然で尚且つ自由。


全体の中でジェントルがすごく栄えていたなぁと思った。正直、でしゃばりだしお芝居できんの?って思ってたけど、演技は普通に出来るし、あの見てくれだから舞台栄えも勿論する訳で。家族に乗っかって嘘吐き始める中盤からはノリノリですごく良かった。彼の存在が面白く、重要なキャラだったような気が。


今回私が一番驚いたのはしずる。始まって数分、無言でググッとその空気を作って引き込んで、登場しただけでその場の雰囲気を変えられるくらいの存在感を出した池田さん。コント師故に演技力には安心してたけど、正直あそこまで「その場に求められている演技」が出来るとは思わなかったなぁ。役どころも合ってたけど、彼に恐怖心を抱くほど最初のシーンは衝撃的だった。思わず唾を飲み込む感じ。あと、途中で長い台詞を間違えちゃったんだけど、空気変えることなくうま〜くかわしてたのにびっくり!シリアスなシーンだけにヒヤヒヤしましたが。あんなにデキる子だなんて思わなかった〜。


勿論、村上さんも当初の優しい雰囲気とは一変して本性見せる場面なんかは鳥肌が立つくらい恐かった。役にハマりこんでいて、それに見入ってしまった。決してクサくない、まさに“お芝居”な演技。このお芝居ではしずるの二人が大事なキーポイントになっていたんじゃないかな。グッと引き締める役。大抜擢、そして期待以上の活躍だったのでは。


個人的に健人さんのスーツ姿がめっちゃ良かったっす。あんま観れないからね。ふつーにかっこよかった!貴重ですよ笑。少しズレてる家族の中に、阿国ちゃんの彼氏ってことで途中から入ってくる、唯一まともな人間。ズレを否定する役目だったジェントルがそのズレに飲み込まれてしまうので、軌道修正する重要な役。役、とてもお似合いね。


しかし、一体どこが影ができるほどのタメ息だったんだろう?家族で悩むところ?でもあんまりそんな感じがしなかったんだよなぁ。そんな謎が残るお芝居でした。